『思考訓練化学』の成立とGHSという場

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《聞いた話と書名だけでもう、その気になった私達は……

  • しかし、今のように情報アクセスも皆無、田舎者の二人ですから、通添オリオンの会員限定ということも知らぬまま市内の書店をくまなく探し回り、さらに書店の人に調べてもらっても「ないですね〜」という返事に途方にくれ………「通添オリオン」は大数の広告で見てたのですが、その頃すでにZ会がメジャーとなっていましたので詳しい情報も無く……そうするうち3年生となり隣県の福岡市に同級何人かと駿台模試を受けにいくことになったときのことです。(悲しいですね地方都市って。大都市までいかないと当時駿台模試も受けられず…)
  •  その帰り道のこと、福岡駅前の「紀伊国屋書店」に寄ったんです。初めて見た巨大書店に感激・興奮しましたね。
  • 「デパートのワンフロア全体が本だあ!!!!学参コーナーも町の書店全体より大きいよ、K田君!!ここなら『思考訓練の場としての英文解釈』も絶対あるよ!!」と二人で一時間以上興奮と期待一杯で探しましたね。学参だけでなく、語学コーナーまで隅々……
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  • もちろん、非売品ですから書店にあるはずがなくて……。
  • 「ここを探してないんだからやっぱり無いんだよ」というホントは滑稽であり得ない結論なんですが、互いに妙に納得してしまったのも地方人の哀しいところです(笑)。
  •  ちなみに、K田君は現役で東工大に行きましたよ。理数系は優秀でしたが「英語は英語で極めたいというマジメな友人でした。私は浪人して京大・経へ進むのですが「日本のどこかには『思考訓練英語』でスゴい英語力をつけているヤツがいるに違いない…」と思って英語の勉強はもう必死でやりましたよ。
  •  そして後々、東大医学部を再受験するのですが、育文社から復刊された年にはすでに私の受験生活は終わっていたのです。この意味で私には真の意味での「幻の名著」であり「出逢うべき時に出逢えなかった」遠い遠い、でもけっして忘れられない、究極の目標でした。それが数年前、GHSの本棚をふと見ると新本で置かれているじゃありませんか。一目で分かりましたよ。『思考訓練の場としての』の文字にしばし釘付けでした。わが目を疑うというか。今の村田先生のお話の出来事の直後のことでしょう。

《思考訓練シリーズがもっている本質的志向》

  • 山田: そうでしたか。両先生のお話を伺って、この本のすごさを改めて理解できたように思います。当社は広告代理業務部門が大きく、大手受験出版社のように参考書で大きな利益を出そうという意図は元々ありません。
  •  この本も書店への営業活動はしていませんでした。いわば注文販売のような形で  やっていたのですが、ここへ来て急激に一般の方からの問い合わせや、書店からの発注が増えるようになってきました。
  • 村田: ただ口を開けて、栄養を流し込んでもらおうと思っている受験生が多い現代にあって、この本にチャレンジしようとする受験生が増えているということは、うれしいですね。受験生には、難しいものに取り組んで、そこから何かを学び取って自分の実力を高めていくということにこそ喜びを感じてほしいのです。
  •  多田先生にしても、『思考訓練の場としての現代国語』の棟先生にしても、よじ登ってこさせる厳しさを前提にしています。「過保護」は時代の反映でもあると思いますが、実力をつけるとはそういうことであり、これはいつの時代にも必要な要素ですね。
  • 天野: その通りです。「引き上げてもらう」ではなく「自らが上昇していく感覚」を味わってもらいたい。『思考訓練の場としての体系化学』も当然に同じ志向です。 ただ、より正確に言うと「体系」ですから文字通り‘自分でよじ登っていく’ことが必須なのです。実物を知らない内はこの意味がわからない人が大半とは思いますが、簡単にいえば、論理の立体的な‘峰を登り切って’はじめて、「体系」ということが分かってくるものだからです。
  •  しかし同時に「体系」ですから最初から急斜面はありません。見かけからすると字も大きいし、文体も前作のように硬派ではないので、登り始めて暫くしてから後戻りできない険しさを感じるかな。それを同時に楽しんでもらいたい……。
  • 村田:ところで『思考訓練の場としての英文解釈』、『思考訓練の場としての現代国語』はともに初版が1970年代です。90年代になって版権が育文社に移ってから数えても10年以上、この間に新たな参考書をこのシリーズで出す計画はなかったのですか?
  • 山田: 先ほども申しましたとおり育文社は出版だけの会社ではありませんので、そもそも学参を出していこうとは思っていませんでしたし『思考訓練の場としての…』をシリーズ物として出して行こうという発想は持っていませんでした。  
  •  何しろ、シリーズ物となると、多田先生のあの本の続きになるわけですから、ちょっとそうしたレベルの参考書というのは、考えにくかったのは事実です。

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