『思考訓練化学』の成立とGHSという場

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《シリーズ化への流れ 育文社とGHS》

  • 村田:そうして今から3年前、2004年の頭でしたか、『思考訓練の場としての英文解釈』が取り持つ、育文社とGHSの2度目の出会いがやってくることになるのでしたね。
  • 田:でしたね。私は、広告代理店育文社初代社長である父のもとで、若い時から予備校業界をずっと見てきました。その間、たくさんのすばらしい先生に出会い、またかわいがってもらいました。
  •  昔は、有能で、慈愛に満ちたすばらしい先生がたくさんいたんです。しかし、いつの間にか、その予備校業界もすっかり様変わりしてしまいました。要は、完全に商業主義に毒されてしまったのです。
  •  私が40数年にわたってみてきたこの間の事情をことある度に少しずつ書きためてきたものがあり、いずれ自費出版で本にしようと思っています。ただ、時代が変わってしまったとは言え、商業主義のこの時代に小規模ながら凛として本物の教育を施しているいわば寺子屋的学び舎が存在している。私はGHSをその筆頭格として注目していたのです。
  • 山田: 私は昔よく、取引先の偉い先生に神田の学士会館に呼ばれました。そこにいくと旧制高校から東大を出てそれぞれの業界で活躍したあと隠居した名士の方々が 囲碁をされていて、つき合わさせるんです。私は囲碁はやりませんからそばで見ているだけです。何しろ早稲田・慶応以外の私大は大学と思っていない頃の学生でして…。六大学のある大学名をあげたら「君、それは専門学校じゃないの?」と言って憚らない時代の‘帝大卒’は、しかし、話を聞いているとスケールがでかいんですね。時代を担う気概に満ちていて、とにかく話に含蓄があります。
  •  もちろん東大出にも色々いるでしょうけれども、村田先生とお話をしているとやはり同じものを感じるのですね。なにか違うんですね。本物の東大の深みを感じるのです。物事を広く見ている。
  •  だから、さきほどお話した本の原稿を、出来上がって真っ先に読んでいただいたのが村田先生なんです。まず村田先生の感想を聞きたかった。そうしたら先生はたいへん評価してくれて感想まで書いてくださった。感激しました。
  •  出版の折には、推薦文として使わせていただければ、と思っています。
  • 村田:あれはいい原稿ですね。私も色々と知ることができ大変勉強になりました。予備校の生きた裏面史であり、歴史的資料としても大変価値があると思いますよ。
  • 山田:ありがとうございます。
  • 村田:私は私で、育文社をずうっと見てきました。何人かの社員と交流を持ち、また数年前の『再起動』などを見てきて、山田社長の本物志向に“人生、意気に感ずる”ものがあったのです。
  •  育文社も広告出版業界の一私企業ですから、営利を志向するのは当然なのですが、しかし、教育畑である以上越えてはならないもの、あるいはその前に人間である以上持ち続けなければならないものを企業体質として しっかり持っている、そのことに失礼ながら驚きました。
  •  予備校業界で黒子に徹し続け、ときに自分を偉いと勘違いした横柄な輩に平身低頭しながら、しっかり人間としての視点で人物を見抜いて来られた。実際、この視点が、社長が書かれた予備校裏面史に貫かれているんですね
  •  そうした本質的な部分でお互いに共感が生まれていたところに、私が相談を持ちかけたのでしたね。
  • 山田:そうでした。GHSの生徒さんがその授業を聞いて大変感激する理科の先生がいるんだが ……と。
  • 村田:うちの講師はどの講師も生徒がみんな感激しますが、中でも特に・・・。
  • 山田:あぁ、そうでした。失礼しました。中でもとりわけ、生徒さんが「今までこのように教えてもらったことがなかった」と大感激する化学の先生がいらっしゃると。
  •  それは、バブル時代に大手予備校にありがちだった何かパフォーマンス的な言動で生徒を惹きつけるとか、ただ単に気の利いた解き方が散りばめられているという表面的な問題ではなくて、受験化学全体を体系づけた考え方・統一的解き方を提示し首尾一貫しているという点で、授業内容そのものが今までの参考書にはない次元のものだということでした。
  • 村田:そう。それを今まではGHSの中だけにとどめてきたのですが、今、書店に行って受験参考書を見てみると、表面的には実にきらびやかでありながら、質的にはまったく発展していない。
  •  確かに丁寧にはなっているのだけれども、むしろ文体や装丁が幼稚化していることにやり切れなさを感じていたこともあって、天野先生とも議論し、GHSのこうした本当の学力養成のあり方を全国の受験生に発信していいのではないかという結論になった。つまり受験参考書として出版しようと。

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LinkIcon『予備校不屈の教育者』
第2698回 (社)日本図書館協会選定書

  • 本書は、1950年代から70年代の予備校創立者の群像物語として、社会が目をむけることがなかった予備校から「教育魂」を導き出した稀有な内容であり、文部省管轄外の「赤髭教育者」を現代に蘇らせた万人向けの書である。懐かしい予備校が収録されている。 ◎著者自筆のイラスト100点以上 監修:倉持貞雄











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